#90 能力
"インプロ" と"台本の無い芝居" とを使い分けることがある。
どちらも台本の無い中で共演者と一緒にストーリーを紡いでいくことに変わりは無い。
前者がゲーム性が強いという事に比べて、
後者の方はストーリー性や登場人物の関係性を見せるもの、と思っている。
映画や演劇に近い方はこちらである。
「自由でいい」「ありのままでいい」「失敗したっていい」の価値観で行う "インプロ" がぼくにとって少しアレルギーになってしまったのは、テレビで見たオリンピック選手が強く印象に残ってからだ。
その体操選手は、本番直前、真剣な眼差しで競技に臨んでいた。
国を代表するその選手は、おそらく失敗するイメージなんて持ってやしなかっただろう。
ぼくはそれを見て「か、カッコよかぁ〜!!」と感じたのである。
楽しいインプロをやってるだけでは決して辿り着く事のない境地がそこにはあった。
しかし、ぼくが今 訓練している "台本のない芝居" ではそれができる。
たゆまぬ訓練で、誰にも真似できない境地へ行ける。
やろうと思えば何でも小手先でやれてしまうぼくにとって、"インプロ"よりも"台本のない芝居"の方が圧倒的にハードルが高い。しかしぼくはこの道を歩もうと決めた。
内村航平選手がぼくの背中を押した。
どんな映画よりも興味深い60分の物語が即興で作れる能力は、まだ日本では誰も持っていない。
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