#24 コーチとの関係性
小学生の頃、ぼくはバスケットボール部に所属していたが、顧問の先生がとても怖かった。
年齢は30前半。黒縁メガネにスポーツ刈り、服装はいつでもジャージの上下で靴下にサンダル。常に不機嫌そうで笑ったところを見たことがなく、給食を食べている時ですらムスッとしていた。食べる事嫌いだったのかなぁ。スーパーモデルだったのかもしれない。
すぐ暴力を振るう事で有名な男の子・松なんとか君がぼくの同級生にいた。松なんとか君が誰かに暴力を振るう度にその先生は「なんで殴った?」と聞いていた。「ムカついたから」という答えが松なんとか君から返ってくると、その先生はすぐにその松なんとか君を殴り「なんで殴ったか聞け!」と怒鳴る。半ベソかいた松なんとか君が「なんで殴ったんですか?」と聞くと「ムカついたからだ!」と答えるような、そんな教育をしていた先生であった。
このコーチは、部活の時間、自分の思い通りに選手が動かないとボッコボコにしていた。
いつもいつも誰かがボコられる姿を見せられてストレスが溜まっていたぼくはある日、とうとう
「もう良くないですか!その辺で。前から気になってたんですけど、そんなに殴る必要ありませんよね?気にくわないのなら言葉で説明してくださいよ!暴力でしか会話ができないなんて、野蛮ですよ!」
と口にする事を諦めた。恐怖に屈したのだ。ヒーローになれない事を悟った10才であった。
ぼくも塾講師のバイトの経験があるので理解できるが、人に何かを教えるというのは一筋縄ではいかないところだ。その分野において深く理解している、という事とはまた別の「分かりやすく伝える」能力が必要になる。一人一人の個性に合わせたコーチングも求められる。「お前なら出来るよ」という言葉がモチベーションアップになる人もいるだろうし、逆にプレッシャーで潰れてしまう人もいるだろう。しかしいろんな壁を乗り越えてコーチングをする側と受ける側で信頼関係を獲得する事が出来たならそれは最高のパートナーとなる。信頼できないコーチのもとで学ぶのは苦痛でしかなく、「もっと早く辞めていれば」と今でも思う事がある。早く去る事で、もっと良いコーチと出会えるチャンスが訪れたかもしれない。
ぼくは大坂なおみ選手をこれからも応援しようと思う。
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